15年にわたるブナ林の調査
TOMIICHI自然科学部では、2泊3日の日程で、標高約1,100mに位置する有峰地域でのフィールドワークを実施しました。自然科学部が有峰で取り組んできたブナ林に関する植生研究は、今年で15年目。長年にわたり同じ地域の自然を調べ続け、森林の変化や土壌中の動物の評価、動植物の生態について研究を重ねています。
斜面をよじ登る。
日中は、森林を中心にさまざまな動植物の観察や調査。森林調査では、一定の範囲内に生育する樹木の種類や大きさなどを記録する「毎木調査」や、設定した調査線に沿って植生を調べる「ライントランセクト法」を実施。時には急な斜面や藪にも分け入りながら、調査を実施しました。
日が落ちてからは
日が落ちて宿舎で一休みした後は、夜の研究セッションです。日中に収集したデータの整理・分析に加え、夜にしかできない調査にも取り組みました。夜は、夜行性の昆虫が活発に活動する時間帯。昆虫が集まりやすい波長の光を放つライトと白いシーツを使った「ライトトラップ法」で昆虫を集め、どのような種類の昆虫が生息しているのかを調査しました。
そして深夜には、街の明かりから離れた有峰ならではの満天の星空が広がりました。流れ星も見ることができ、自然の豊かさと美しさを実感するひとときとなりました。
水の中にも広がる豊かな生態系
有峰の自然は、森林だけではありません。沢や水辺には、サンショウウオやカエルなど、この地域ならではの多様な生き物が生息しています。生徒たちは実際に水の中に入り、石の下や水辺の環境を丹念に調べながら、水生動物の観察・調査を行いました。
継続調査の意義
毎年同じ場所で調査を続けることで、初めて見えてくることがあります。継続すること自体が、自然科学の研究における大きな意義の一つです。
今年の秋は、ブナやミズナラの堅果(ドングリなどの木の実)が豊富に実ることが予想されています。ブナやミズナラの実は、ツキノワグマにとって秋の重要な食料です。昨年は人里へのクマの出没や人との遭遇事故が相次ぎ、社会問題となりました。今年は木の実の豊作が見込まれることから、クマの行動や人里への出没状況にも変化が生じる可能性があります。森林の小さな変化が、野生動物の行動、さらには人間社会にもつながっています。
発表すること
長期的なデータを通じて森林の変化を捉え、生物同士のつながりや、その背景にある自然のしくみを考える。今回のフィールドワークで得られたデータは、今後、分析と考察を重ね、レポートにまとめていきます。
科学は、調べて終わりではありません。得られたデータや知見を多くの人と共有し、新たな問いや発見につなげていくことも、サイエンスの大切な観点です。今回の貴重な体験とデータを「発表」を通して、次のサイエンスへとつなげていきます。